・日本社会心理学会第42回大会自主企画 2001年10月14日 愛知学院大学
「自己がつなぐ個人と社会 〜自己心理学の可能性を探る」
企画:榎本博明(大阪大学)
司会:林洋一(白百合女子大学)
話題提供者:榎本博明(大阪大学)、小林亮(京都光華女子大学)、松田信樹(大阪大学)
指定討論者:山本真理子(筑波大学)、星野命(国際基督教大学名誉教授)、林洋一(白百合女子大学)
自己に関する心理学的研究は、社会心理学、性格心理学、発達心理学、認知心理学など多くの領域において盛んに進められているが、領域間の交流は乏しいのが現状である。そこで、自己という研究対象をもって従来の心理学諸領域を横断する自己心理学という研究分野の確立を目論んで本企画は開催された。本企画は、個人と社会をつなぐ自己という観点から自己心理学の可能性について考える場となった。榎本氏は、自己の社会性の問題について、過去を想起しつつ自らを語るという自己物語の面接調査や質問紙調査に基づいて話題を提供した。小林氏は、自己−他者関係の理解が文化によっていかに異なるのかを、日独比較データに基づいて検討した。松田氏は、恐怖管理理論の文献レビューに基づいて、自尊感情を有することの意義について論じた。提供された話題に対して指定討論者からコメントと質問が投げかけられ、話題提供者との議論が交わされた。
・日本心理学会第66回大会ワークショップ 2002年9月27日 広島大学
「自己心理学の展開(1)−心理学諸領域における自己心理学的研究−」
企画:林洋一(白百合女子大学)、横井優子(名古屋大学)
司会:横井優子(名古屋大学)
話題提供者:白井利明(大阪教育大学)、越川房子(早稲田大学)、山下清美(専修大学)、榎本博明(大阪大学)
指定討論者:田畑治(名古屋大学)、林洋一(白百合女子大学)
本ワークショップでは、さまざまな心理学領域の研究者が、それぞれの立場から自己に関する話題を提供し、自己心理学の展開、発展に有益となる議論がなされた。白井氏は、発達心理学の立場から自己の発達と異世代間の相互性について話題を提供した。越川氏からは、臨床心理学の立場から論理情動行動療法の視点からみた十牛図と東洋的自己について話題が提供された。山下氏は、認知・社会心理学の立場からインターネット上のコミュニケーションにおける自己について話題を提供した。榎本氏は、性格心理学の立場から人生を導く文脈を性格と見なす立場についての話題提供を行った。その後、田畑、林の両氏による指定討論や、フロアの方々との貴重な意見交換がなされた。
・日本心理学会第66回大会ワークショップ 2002年9月27日 広島大学
「自己心理学の展開(2)−発達心理学における自己研究−」
企画:小林亮(京都光華女子大学)、松田信樹(大阪大学)
司会:榎本博明(大阪大学)
話題提供者:岡田努(金沢大学)、飯野晴美(明治学院大学)、小林亮(京都光華女子大学)、松田信樹(大阪大学)
指定討論者:榎本博明(大阪大学)、下斗米淳(専修大学)
本ワークショップでは、自己心理学の展開(1)を引き継ぐ形で、自己に関する諸問題の中でも自己の発達と自己の集合的側面に焦点を絞って議論が交わされた。岡田氏は青年の自己と対人関係について話題を提供するとともに、近年話題を呼んでいる「自分探し」についても言及した。飯野氏は自己概念の中でも特に性役割という観点から話題を提供した。小林氏は文化比較的視点から集合的自尊感情と異文化適応についての話題を提供した。松田氏は社会的アイデンティティ理論の観点から集合的自尊感情の測定にまつわる問題点を指摘した。各話題提供の後、指定討論者とフロアを交えての議論がなされた。
・日本性格心理学会第11回大会シンポジウム 2002年10月11日 九州ルーテル学院大学
「自己心理学の展開(3)〜パーソナリティの諸概念をめぐって〜」
企画:林洋一(白百合女子大学)
司会:林洋一(白百合女子大学)
話題提供者:小塩真司(中部大学)、横井優子(名古屋大学)、小林亮(京都光華女子大学)
指定討論者:榎本博明(大阪大学)、岡田努(金沢大学)、林洋一(白百合女子大学)
「自己心理学の展開(1)、(2)」に続く本シンポジウムでは、とくにパーソナリティ領域に関わる自己関連概念(自己愛、自己開示、自尊感情)についての議論が行われた。小塩氏は、「自己愛を理解する枠組み―自己愛の2成分モデルの検討―」というテーマで自己愛を分類する2つの軸について話題提供を行った。横井氏は、「過去の自己への態度と自己開示」というテーマで自己開示に関する質問紙調査の結果を報告した。小林氏は、「集合的自尊感情と文化的自己」というテーマで独立的自己・相互依存的自己と自尊感情のあり方について話題提供を行った。その後、榎本、岡田、林の3氏による指定討論がなされ、フロアとの活発な質疑応答も行われた。
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